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プリズナートレーニング 実戦‼スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ/ポール・ウエイド、山田雅久(訳)

更新日:

自重筋トレの方法論が書かれたプリズナートレーニングシリーズの3冊目です。プリズナートレーニングシリーズは下記の4冊が出版されています。

  1. プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ
  2. プリズナートレーニング 超絶‼グリップ&関節編 永遠の強さを手に入れる最凶の自重筋トレ
  3. プリズナートレーニング 実戦!!!スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ
  4. プリズナートレーニング外伝 監獄式ボディビルディング

1冊目は筋肉を増大させるため、2冊目は主に関節を鍛えて強化するための方法論が書かれています。3冊目である本書はスピードと瞬発力の向上に特化したトレーニング方法が紹介されています。

パワーとは筋力×スピードのこと

筋肉は多ければ多いほど強いパワーが出ると思いがちですが、実はそうではありません。巨大な筋肉を持つ男よりも、小さくほっそりとした体つきのアスリートのほうが大きなパワーを発揮することがあるのです。

これはなぜかというと、「パワー=筋力」ではないからです。真のパワーは筋力そのものではなく、筋力をどれだけ速く動かすことができるか、というスピードの概念が加わります。

筋力のみを純粋に使うのであれば、スピードは不要とも言えます。例えば、大破した車から這い出そうとしている子どもを助けるために車を手で持ち上げようようとしているストロングマンがいるとします。

子どもが這い出せるくらいの高さまで車を持ち上げるにはもちろん筋力が必要です。しかし、この場合パワーは出ていません。重い車はゆっくりとしか持ち上がらず、スピードの概念がないからです。

次に、カンフーマスターが数メートル離れたロウソクの火を裏拳を使って消すという動作を考えた場合、必要になるのは人並み外れたスピードです。しかし腕の筋肉には大きな負荷がかかっているわけではないので、こちらもパワーは出ていません。

真のパワーとは筋力にスピードを乗じた数値であり、大きな負荷を素早く動かすときに必要になるのがパワーなのです。

パワー、機能的スピード、アジリティ能力

この本では「パワー」、「機能的スピード」、「アジリティ能力」の3つに焦点を当て、これらをバランスよく高めるためのトレーニングメソッドが紹介されています。

パワー:筋力とスピードを必要とする動作

機能的スピード:体全体を素早く動かす必要のある動作

アジリティ能力:高速で方向転換する必要がある動作

スピードについてですが、一口にスピードといっても色々なスピードがあります。例えば、100mを記録的な速さで走る際に求められるのもスピード、相手が反応できない速さのパンチやキックを繰り出す時に必要なのもスピードです。

しかし、ここで高めていく機能的スピードとは「全身を素早く動かす能力」のことを指します。障害物を飛び越えたり、近寄ってくる敵から素早く身をかわすといった場面で必要になる能力です。

アジリティ能力とは運動の方向を高速で方向転換する、俊敏な転換能力のことです。このアジリティ能力は複雑な動作を行う時に必要になります。

ジャンプを例にとると、垂直飛びで真上に高くジャンプするためにはパワーが必要ですが、バックフリップ(後方宙返り、バク宙)をしたいならば、ジャンプをして空中でパワーが向かう先を素早く調和的に変化させて、後方回転する必要があります。

この際に必要なのがアジリティ能力です。垂直ジャンプのように一方向に表現されるパワーは筋力のようにシンプルな鍛え方が可能ですが、アジリティ能力を高めたいのであれば、何かしらのスキルを身に着ける時と同様に「繰り返す」トレーニングが必要になります。

ジ・イクスプローシブ6

1冊名の「プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ」では、自分の体重を使って全身の筋肉を増大させる時に使うトレーニングメソッドとしてビッグ6(プッシュアップ、プルアップ、スクワット、ブリッジ、レッグレイズ、ハンドスタンドプッシュアップ)が紹介されていました。

これに対し、スピードと瞬発力を高めるために使用するメソッドがイクスプローシブ6です。イクスプローシブ6は、パワージャンプ、パワープッシュアップ、キックアップ、フロントフリップ、バックフリップ、マッスルアップの6つのトレーニングで構成されています。

そして、各トレーニングはビッグ6と同様に漸進的に進歩する10個のSTEPで構成されています。

6つのトレーニングをパワー動作(筋肉、軟組織、神経系、骨などに働きかける動作)とスキル動作(神経系や脳のコンディションを整える動作)に分類すると下記のようになります。

  1. パワー動作・・・パワージャンプ、パワープッシュアップ
  2. スキル動作・・・キックアップ、フロントフリップ、バックフリップ
  3. パワーとスキルの混合動作・・・マッスルアップ

この順番はエクササイズの難易度にも当てはまり、1→2→3の順番に難易度が高まります。なので、最初から6つすべてのトレーニングを開始するのではなく、パワーと瞬発力の土台となる力を養成するパワージャンプとパワープッシュアップをまず始めて、この2つが少なくともSTEP5に達したら残りの4つを開始する準備が整うと考えましょう。

1、パワージャンプ

プリズナートレーニング 実戦‼スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ 81ページより

パワージャンプは上方向に爆発的にジャンプをすることで、脚の瞬発力を養るトレーニングです。ジムで行うジャンプ力を付けるためのトレーニングといえばボックスに飛び乗ったり飛び降りたりするのが有名ですが、パワフルな脚を手に入れるためにボックスは必要ありません。

パワージャンプで求められる技術は下記の5つです。

  • ラウンチング(発進)・・・しゃがむ動作
  • タッキング(押し込み)・・・膝を引き上げる動作
  • ランディング(着地)・・・着地の動作
  • ミオタティックリバウンド(筋伸張リバウンド)・・・伸張と短縮の動作
  • ブロッキング・・・水平方向の推進力を垂直方向の推進力に変える動作

中でも重要なのがタッキングです。パワージャンプはタッキングをマスターするためのトレーニングと言っても過言ではなく、これがマスターできないとキックアップ、フロントフリップ、バックフリップができません。

ミオタティックリバウンドは聞きなれない言葉ですが、筋肉を伸ばした後に縮めると、筋肉の長さが変化していない状態から縮めるよりも大きな力やパワーを発揮できるということを利用した動作です。これを利用したジャンプはリバウンドジャンプなどとも言います。

そしてこれらの一連の技術を身に着けるためのトレーニングメニューが下記です。

STEP 1:ストレートホップ
STEP 2:スクワットジャンプ
STEP 3:バーチカルリープ
STEP 4:ブロックジャンプ
STEP 5:ブットキックジャンプ
STEP 6:スラップタックジャンプ
STEP 7:タックジャンプ
STEP 8:キャッチタックジャンプ
STEP 9: スレッドジャンプ
STEP 10:スーサイドジャンプ

STEP1~3で垂直方向への力の出し方、STEP4では水平方向の力を利用してジャンプするブロッキング、STEP5~8でタッキングを身に着けます。マスターステップのスーサイドジャンプはジャンプして空中で手に持っているバーやほうきを飛び越えるという動作です。

失敗するとジャンプ中に脚を取られて真っ逆さまに落下する可能性がある危険なジャンプですが、これができるようになれば申し分のない高さの跳躍力、高スピードで動く脚、しなやかな柔軟性が身についていることの証となります。

2、パワープッシュアップ

プリズナートレーニング 実戦‼スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ 117ページより

爆発的に地面を押すパワープッシュアップは上半身の瞬発力を付けるのに適したトレーニングです。重く稲妻のように速いパンチを打ちたい格闘系のアスリートには特におすすめです。

プッシュアップはトレーニングの中でも特にバリエーションが豊富ですが、パワープッシュアップは安全性の重視や効果の最大化という観点から、下記のような守るべきルールが存在します。

  1. 肩幅よりわずかに広い”自然”だと感じる位置に手を置く
  2. 手のひらを平に保ち、指を少し広げるように地面に置く
  3. 体を整列させて、太もも、股関節、胴部を一直線に保つ
  4. スタンスを広めにとる(肩幅を超えたとこから肩幅の2倍までのどこかに両足を位置させる)
  5. 体を深く沈みこませないようにする(通常のプッシュアップの3分の1(10~15cm)程度)
  6. “底”で一時停止させない(重力を利用してできるだけ素早く沈み込み、上方に向かって即座に体を爆発させる)

特に意識したいのが3番目の「体を一直線に保つこと」です。通常のプッシュアップとは異なり、パワープッシュアップでは自分を押し上げる際に一緒にお尻も跳ね上げがちです。

お尻も一緒に跳ね上げたほうが、てこの原理が働き、滞空時間が長くなるからです。エクササイズがやりやすくなるのです。しかし、パワーを付けるには体を厳格に整列させた状態をキープする方が効率が良くなります。

パワープッシュアップのトレーニングメニューは下記のとおりです。

STEP 1:インクライン・ポップアップ
STEP 2:ニーリング・プッシュオフ
STEP 3:ポップアップ
STEP 4:クラップ・プッシュアップ
STEP 5:チェストストライクプッシュアップ
STEP 6:ヒップストライクプッシュアップ
STEP 7:コンビクト・プッシュアップ
STEP 8:ハーフ・スーパー
STEP 9: フルボディ・ポップアップ
STEP 10: ザ・スーパーマン

STEP 1は立った状態で行うプッシュアップで、いわば準備運動のようなものです。STEP 2と3でパワープッシュアップを行うための基礎を養成します。STEP 4~7は体を爆発的に上に押し上げ、空中で拍手をしたり体の一部を叩いて地面に両手を着いて着地する動作になります。

STEP 8の空中で手を前に出す動作、STEP 9のトップ域で地面から脚を持ち上げる動作を経て、マスターステップではこの2つを組み合わせ、手を前に出すのと脚を地面から話す動作を空中で同時に行います。

名前の通り、空中でスーパーマンのような姿勢になります。このステップをクリアする頃には人並み外れたパワーとスピードが身についているはずです。

パワープッシュアップをトレーニングし瞬発力を備えた上半身をつくる過程で、腕や胸、肩などに筋力が付いてきます。筋力が付くと、ハードなトレーニングもこなせるようになるので、筋量も増えていきます。

なので、筋量を増やすためにゆっくりとした動作でやる通常のプッシュアップとパワープッシュアップのような高速ワークをミックスさせてトレーニングすのがおすすめです。

3、キックアップ

プリズナートレーニング 実戦‼スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ 151ページより

キックアップとは、仰向けになった状態で、頭の上に巻き上げた脚を瞬発的に弾き出しながら背中を使って起き上がる動作です。日本語では「跳ね起き」などとも言います。

カンフー映画のスターであるジャッキー・チェンや元WWEプロレスラーのザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)などが得意とした動作です。ストリートダンスの一部にも取り入れられており、見た目のクールさからキックアップをやりたがる男の子も多いようです。

この動作を行うには手を使って爆発的に体を弾くパワーや股関節のスナップが必要となるので、パワージャンプやパワープッシュアップをトレーニングしてある程度のパワーがついてから開始したほうがいいでしょう。

ここで身につく股関節スナップはフロントフリップやバックフリップといったより高度で洗礼された動作でも必要となる大切な技術なので、キックアップはスキル動作の3つのなかで最初にマスターすべきです。パワー動作とスキル動作の橋渡し的な役割を持つ重要な動作となります。

キックアップをトレーニングする際に注意するべき要素は

  • ロールアップ(巻き上げ)・・・仰向けになって膝を頭の近くまで巻き上げる動作
  • 手を置く位置・・・指を体の下方向に向け、その手を耳の側に置く
  • キック・・・体を空に向かって高く弾くように蹴り上げる動作
  • 回転・・・上半身を回転させる動作

です。仰向けの状態から体を90度回転させることになるのですが、回転する時に使うのは脚の力ではなく、上半身、腕、股関節です。ロールアップの状態から空に向かって脚を高く蹴り上げると、まっすぐ上に飛ぶわけではありません。体は弧を描いて弾き出ることになります。

この時に地面を押すハンドプッシュアップと股関節のスナップによって、体を90度回転させます。高速でシットアップすると、ウエストが蝶番の役割を果たして上半身が起き上がるイメージです。

キックアップのトレーニングメニューは下記の通りです。

STEP 1:ローリングシットアップ
STEP 2:ローリングスクワット
STEP 3:ショルダーポップ
STEP 4:ブリッジ・キップ
STEP 5:ブットキップ
STEP 6:ハーフキップ
STEP 7:キップアップ
STEP 8:ストレートレッグ・キップアップ
STEP 9:ウーシューキップアップ
STEP 10: ノーハンド・キップアップ

STEP 1でローリングに必要なミドルセクション(腹筋周り)を鍛え、STEP 2では脚を頭の方向にスイングさせることで生まれる推進力を前方へ向ける方法を学びます。

STEP 3でハンドプッシュしながらのキック、STEP 4でキック後にブリッジした状態で足を着地させる動作を身に着けます。TEP 5からウエストを前方に向かって強く押し出す股関節スナップを学びます。

多くの人が思い浮かべる通常のキックアップはSTEP 7で完成します。STEP 8からはさらに高度なキックアップへと移り、手を使用しないでキックアップを行うノーハンド・キップアップがマスターステップとなります。

手を使わないキックアップなんて聞いただけで首に大きな負担がかかりそうですが、実際はほんの一瞬てこの支点として働くだけなので、首の筋力はそれほど必要ではありません。

もちろん首に何らかの問題を抱えている場合は、このトレーニングを行うべきではありません。

4、ザ・フロントフリップ

プリズナートレーニング 実戦‼スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ 185ページより

フロントフリップはその場でジャンプし、空中で360度前方回転して跳び上がった場所に両足で着地する、という体操競技でよく見る前方宙返りのことです。

これができるということはすなわち真のパワー、スピード、機敏さが身についていることの証明になります。一見すると体操選手やスタントマンといった限られた人にしかできない離れ業のように思えますが、順を追ってきちんと練習すれば一般の人でもできるようになります。

フロントフリップは下記の要素に分解できます。

  • ランアップ(助走)・・・垂直方向への推進力を高めるための助走
  • テイクオフ(発進)・・・前方へのジャンプ
  • タック・・・空中で両手両足を強く引き付ける
  • アンフェル(展開)・・・空中で回転したら、タックした両手両足を元の状態に展開する
  • ランディング(着地)・・・最後の着地

この中で特に重要なのは、パワージャンプでも出てきたタックです。タックをして両手両足を体に引き寄せることで角運動量が増し、スピンがしやすくなります。

フロントフリップは体操競技でフロントタックと呼びますが、このタックがうまくできるかどうかがフロントフリップの出来を左右するといってもいいでしょう。

ランアップは練習の初期段階でジャンプ力を増すために行うもので、最終的には助走を付けずにその場でジャンプします。3m未満の短い距離を助走し、前方向への勢いをパワージャンプのチェーンで身に着けたブロッキングを利用して縦方向への推進力に変えます。

テイクオフ(ジャンプ)の際には、真上ではなく前方に向かって飛ぶのがポイントです。高い壁を飛び越えるように前方にダイブするイメージです。前方にダイブした直後、タッキングと胴部の爆発的なシットアップを同時に行うことで、前方回転することができます。

この前方回転に必要な推進力は質的にキックアップと同じです。キックアップは部分的な90度回転、フロントフリップは完全な360度回転という違いだけです。

回転したら、着地するためにタックした手足を展開しますが、ここも難しいポイントです。理由は回転している最中は地面が見えないので、手足を展開するタイミングを勘に頼らなければならないからです。

これらの4つの動作がよどみなく成功することで着地が成功します。「倒れることになる角度は無限にあるが、うまく立てる角度はひとつしかない」という言葉があるそうですが、体操競技でも最後の着地を失敗するケースが結構あります。

最初は回転が足りずに尻もちを着いたり、逆に回転しすぎて膝と手で着地することもありますが、練習を重ねるうちに洗練された着地ができるようになります。そしてそのためのメニューは下記になります。

STEP 1:ショルダーロール
STEP 2:プレスロール
STEP 3:ジャンプロール
STEP 4:ハンドスタンドロール
STEP 5:バックドロップハンドスプリング
STEP 6:フロントハンドスプリング
STEP 7:フライスプリング
STEP 8:バックドロップフリップ
STEP 9: ランニングフロントフリップ
STEP 10: フロントフリップ

まずSTEP 1~4で回転動作を身に着けます。STEP 1の柔道や合気道の前回り受け身のような動作からはじめ、STEP 4は逆立ちの状態から体幹を丸めつつ後ろに倒れこむ動作になります。

STEP 5~7で地面に両手を着いた状態で前方に転回するハンドスプリングを学び、STEP 8からは両手を地面に着けないフロントフリップへのアプローチが始まります。

最初のSTEP 8では不足する回転力を補うため、助走をつけてジャンプ・回転し、足裏・臀部・手のひらでショックを分散させながら着地します。マスターステップが助走をせずにその場でジャンプ・回転し、両脚の裏のみで着地するフロントフリップになります。

プリズナートレーニングシリーズは特別な器具を使用しないでトレーニングできることが一つのウリになっていますが、フロントフリップは例外です。

背中や後頭部を地面に打ち付ける可能性があるため、完璧なフロントフリップができるようになるまでは、厚めのクッションやマットレスを敷いてトレーニングすることを推奨しています。安全第一です。

5、ザ・バックフリップ

プリズナートレーニング 実戦‼スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ 221ページより

バックフリップはジャンプ後、空中で後方に360度回転して両脚で着地する動作、いわゆるバク宙(宙返り)のことです。フロントフリップを逆回転させたのがバックフリップです。

見えない後方に向かって跳ぶということもあり、フロントフリップよりもバックフリップの方が難しくてやりづらいという印象を抱きがちですが、意外にも難易度はフロントフリップのほうが高いようです。

その理由はバックフリップの場合はフロントフリップとは異なり、回転の後半でタックした手足を伸ばして着地する際に視界が利くからです。つまりフロントフリップの場合、前述したとおり手足を伸ばして着地の姿勢に入るタイミングを勘に頼るしかないのに対し、バックフリップは手足を伸ばす時に地面が見えるので、タイミングを視覚的に判断できるのです。

バックフリップをやる時に気を付けるべき要素はフロントフリップと基本的には同じです。

ただし、フロントフリップを空中でやる爆発的なシットアップとするならば、バックフリップは空中でやる爆発的なブリッジになるので、準備段階としてビッグ6のブリッジを十分にトレーニングして脊柱を強く、堅牢にしておいたほうがいいでしょう。

バックフリップのトレーニングのメニューは下記の通りです。

STEP 1:リアルショルダーロール
STEP 2:リアルプレスロール
STEP 3:ブリッジキックオーバー
STEP 4:サイドマカコ
STEP 5:バックマカコ
STEP 6:フルモンキーフリップ
STEP 7:バックハンドスプリング
STEP 8:ワンアーム・バックハンドスプリング
STEP 9:4ポイントバックフリップ
STEP 10: バックフリップ

後方に向かって回転したりジャンプするという動作は本能的にかなりの抵抗感や恐怖感を感じます。なので、少しずつ体に慣らしていきます。

STEP 1と2で床を安全に後方回転することから始め、STEP 3~7にかけてバックハンドスプリングをマスターしていきます。バックハンドスプリングとはいわゆるバク転のことです。

バックフリップを最終ゴールとするならば、中間目標になるのがSTEP 7のバックハンドスプリングです。高くパワフルで自信に満ちたバックハンドスプリングができるようになってはじめてバックフリップに挑戦する準備が整うことになります。

バックハンドスプリングは肩や腕に大きな負荷がかかるため、ビッグ6のハンドスタンドプッシュアップシリーズを十分にトレーニングしておいたほうがいいでしょう。

STEP 7をクリアしたらSTEP 8の片手でのバックフリップを経てSTEP 9で手を地面に着けずに空中で後方回転し両手両足で着地する動作を学びます。その後、徐々に着地の際に足の方が先に地面に着くように調整していき、最終的に地面に全く手を付けないバックフリップが完成します。

足の方が先に地面に着くようにするためには、回転速度を上げる必要があり、そのためには空中で足を十分にタックして角運動量を上げるのがポイントとなります。

6、マッスルアップ

プリズナートレーニング 実戦‼スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ 257ページより

マッスルアップは頭上にあるバーに掴まりぶら下がった状態から弾みをつけて胴体を引き上げ、腕を支柱にして上半身をバーの上に押し上げるという動作です。自重力アスリートの間では近年人気急上昇中のエクササイズだそうです。

「体を引き上げて乗り越える」という能力は、例えば危険が身に迫ったときに高い塀をよじ登って逃げる際には必要になります。特に警察官、消防士といった職業に就く人たちにとっては必須であり、生き残るために必須のサバイバルツールとして軍事訓練にも取り入れられているそうです。

キックアップやフリップのような見た目の派手さは無いものの、マスターしておけばいざというときに役立つかもしれません。事故に遭遇して壁を登って逃げなければならない時に、フロントフリップができても意味がないということです。

マッスルアップができるためには、瞬発的に体をプル(引き上げ)し、そのあとプッシュ(押し上げる)する必要があります。プルには背中と上腕二頭筋、プッシュには胸と上腕三頭筋の力が必要です。

さらにバーを握っていられるブリップ力、勢いをつけるために体をスイングさせる腹筋の力なども要求され、上半身全体に大きな負荷がかかるのがマッスルアップです。

また、単純な筋力にプラスして、筋肉間の協働力、タイミング、全身の健の強さが加わらなければマッスルアップは完成しません。見た目以上にハードなのです。

そんなマッスルアップを構成する要素は下記の4つです。

  • キッピング・・・体をスイングさせる動作
  • プル・・・体を引き上げる動作
  • プルオーバー・・・バーの上に胴部を持ってくる動作
  • プレス・・・バーの上に体を押し上げていく動作

マッスルアップを完成させるためには人間離れした筋力やパワーが必要だと思いがちですが、実はそうではありません。もちろん筋力が無いとダメなのですが、それと同じくらい必要なのが細かなスキルです。

まず、頭上のバーに体を引き上げる動作ですが、ビッグ6でトレーニングする通常のプルアップとはやり方が異なります。真上に垂直に体を引くのではなく、バーにぶら下がり腕をまっすぐに伸ばした状態で体をブランコや振り子のように揺らし、その勢いを利用して引き上げます。この体をスイングさせる動作がキッピングです。

掴んでいるバーを支点として体を揺らし、バーが体の前に来て頭の位置と同じ高さになった瞬間にウエストあたりまで腕を素早く引き寄せることで、下腹部(股関節あたり)をバーの位置まで誘導します。この動きがプルです。

股関節をバーに引き寄せたら、グリップを一瞬緩めてそのまま胴部をバーの上に乗り出すように持っていきます。この動きがプルオーバーです。

プルオーバーが完成したら、ゆっくりと腕を伸ばして体を押し上げていきます。この動作がプレスです。

これらの一連の動作をスムーズに行うことでマッスルアップが完成します。なお、グリップの握り方は親指を使わないフォールス・グリップと呼ばれる握り方をします。

全部の指でバーを握るよりもフォールス・グリップの方が体をプレスして持ち上げたときに安定するからです。

トレーニングのメニューは下記の通りです。

STEP 1:スイングキップ
STEP 2:ジャンピングプルアップ
STEP 3:キッピングプルアップ
STEP 4:プルアップホップ
STEP 5:クラッププルアップ
STEP 6:チェストプルアップ
STEP 7:ヒッププルアップ
STEP 8:ジャンピングプルオーバー
STEP 9: バープルオーバー
STEP 10: マッスルアップ

マッスルアップは習得しなければならないスキルが多い動作ですが、大まかにいうとSTEP 3まででキッピング、STEP 7まででプル、STEP 9まででプルオーバーをそれぞれ完璧にしていき、最後のマスターステップでプルオーバーさせた体をプレスしてマッスルアップが完成するイメージです。

STEP 4~7はプルするために必要なパワーの要素、STEP 8と9は体幹をバーの上に乗り出すスキルの要素が強いトレーニング内容になっています。

最後、マスターステップのバーの上での体のプレスですが、ここは単純に筋力がものをいう動作なので、筋力が足りないと感じるのであればマッスルアップとは別にホリゾンタルバーデイップスをトレーニングするといいでしょう。

ホリゾンタルバーデイップスはプリズナートレーニングシリーズの3冊目「プリズナートレーニング外伝 監獄式ボディビルディング」でも紹介されています。

どのようにステップアップしていくか(PARCの原則)

筋肉を構築する筋トレと瞬発力を高めるトレーニングではステップアップの仕方に大きな違いがあります。

このプリズナーシリーズでいえば、筋肉を着けることを目的としたビッグ6の場合、6つのトレーニングそれぞれが10個のSTEPで構成されており、さらに各STEPでクリアしなければならないセット数とレップ数が設定されていました。

各STEPで正しいフォームを崩さずに規定のセット数とレップ数ができるようになったら、次のSTEPに進みます。

この進め方はダブルプログレッションと呼ばれる、古くからある手法です。2つの方法で進歩していくという意味があり、ここでの「ダブル」とはセット数とレップ数のことです。

この2つの目標をクリアできたら次に行くという、極めて客観的で分かりやすい手法ですね。筋肉を構築するという目的を達成するためにはとても効果的な手法です。

しかし、キックアップやフロントフリップといったスキルを身に着けなければいけないトレーニングには適した手法ではありません。その理由はまず、レップ数を重ねると体に疲労物質が蓄積し、ケガをするリスクが増えるからです。

筋肉を付けたいときは筋肉を限界まで疲労させる必要があります。筋細胞内のエネルギーを0に近づけると、体が次に来る同じような脅威に備えてより多くの化学物質を蓄えようとします。そして、その過程で筋肉が着いてきます。筋肉を疲労させるにはゆっくりと行う1レップを増やしていくのが効果的です。

しかし、このアプローチ法で生まれる疲労はきびきびとした動作やスピードとは相いれないものです。それに体が疲労することで集中力も落ちます。特にバックフリップやフロントフリップは複雑な動きが要求されるので、体が疲労し集中力が低下した状態でトレーニングすると、大けがに繋がる可能性があります。

2つめの理由は、レップ数を設定するとレップのカウントに意識が行ってしまい、習得したい動きが「完全にできているかどうか」が二の次になってしまうからです。

パワー、スピード、効率性、複雑な動き、これらの調和がとれた完璧な動作ができるかどうかが問題であり、目標の数をこなすことは重要ではないのです。

しかし、イクスプローシブ6の各トレーニングも10個のSTEPで構成されています。レップス数やセット数といった定量的な基準を設けないとなると、次のSTEPに進んでいいかどうかをどのように判断すればいいのでしょうか。

そこで有効な基準の一つが「PARCの原則」と呼ばれるものです。「PARC」とはProficiency(熟達)、Adaptation(順応)、Rgularity(恒常性)、Confidence(自信)のそれぞれの頭文字を取ったものです。

この4つの基準をもとに次のSTEPに進んでOKかどうかの判断を行います。イクスプローシブ6に適用すると下記のような感じです。

  • Proficiency(熟達)・・・そのSTEPでマスターすべき動きが理解できていて、なおかつ完璧にできる。例えば、キックアップだったら、動作の終了時に立っていられずに尻もちをついてしまったら、熟達していないことになります。
  • Adaptation(順応)・・・動きは完璧にできるけど、体のどこかに痛みや張りが残ったりする場合は、その動きに順応していない証拠です。
  • Rgularity(恒常性)・・・何回かに1回成功したくらいではその動きをマスターしたことにはなりません。1回ごとに十分に休憩をとることを前提に、10回のうち9回成功するぐらいにならない限り次のSTEPには進まない方がいいでしょう。
  • Confidence(自信)・・・例えばバックフリップをトレーニングするときに、「ひょっとしたら失敗して首を折るかもしれない」「どこか間違っている部分があるんじゃないか」といった恐怖や不安な点が少しでもあるならば、自信があるとは言えません。今のSTEPでトレーニングを続けるかSTEPダウンをするべきという判断になります。

これはイクスプローシブ6に限らず、ある能力が備わっているかどうかを主観的に判断しなければならない他の場面でも適用できます。

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